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こもります

(2冊目)アンドロイドは電気羊の夢を見るか?

アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))

アンドロイドは電気羊の夢を見るか? (ハヤカワ文庫 SF (229))

ジャケ買いしました。初めて読みました。

紹介

タイトルだけは異常に有名な映画「ブレードランナー」(こちらも観たことはない) の原作。

設定は1993年。もはや過去である。大戦により地球は死の世界となった。死の灰を浴びた人間はスペシャル(特異)な者として排斥され、レギュラー(適格)な人間は新たなすみかを求めて地球外へと移住していた。

たくさんの「種族」の「生き物」が登場する、「戦後」の世界。
移住したレギュラー(適格者)な人間、死の灰を浴びたスペシャル、人造人間アンドロイド。違法に移住したアンドロイドを「処理」する賞金稼ぎ、そして、新しい宗教の神。
この世界では、動物・・・それがたとえ蜘蛛やネズミであれ・・・が生命としてとても丁重に扱われる。動物を飼うことがこの世での美徳であり、動物を粗末にする人間は忌み嫌われる。生身の動物は高価で取引され、それを購入できない人間は電気仕掛けのいわば動物のアンドロイドを飼うのだ。

賞金稼ぎである主人公は「電気羊」を飼っている。

主人公の周りにはたくさんの種類の生き物が登場する。アンドロイドは巧妙に人間になりすまし、中には作り物の記憶が埋め込まれ、自分がアンドロイドであることを知らない者も居る。主人公はスペシャルや多くのアンドロイドと接する中で、自分のアンドロイドに対する態度に困惑し、自分の存在を疑うようになる。自分もアンドロイドなのではないか?

主人公は羊飼いであり、アンドロイドはいわば人間に飼われる羊なのだ。しかし主人公ですら、「神」という主に飼われる羊なのである。100匹いる羊の中には必ず、逃げ出す羊が居る。羊飼だと思っていた自分が、実は飼われる側なのかもしれない。

感想

当時は最新鋭だったかもしれませんが、今となっては古典中の古典。「あるある」設定のオンパレードでしたが、キリスト教…ユダヤ教?とのアナロジーがふんだんに盛り込まれ、生命とはなにかをSF的に問いかけてくる作品です。 VRが宗教的だったり、人間の精神をコントロールするために使われている、というのがとても興味深かったです。